日本たばこ産業(JT)が、ニコチン代替製品市場における存在感を高めようとしている。近年の報道によれば、同社は電子タバコ(ベイプ)や加熱式たばこ分野において、買収・投資を含む積極的な事業展開を進めている。
欧州最大級のベイプ企業「Flavour Warehouse」買収
2025年5月、JTの国際事業部門であるJapan Tobacco International(JTI)は、英国の独立系ベイプ企業「Flavour Warehouse」の過半数株式を取得したと発表。Vampire Vapeブランドで知られる同社は、イギリス、ドイツ、アイルランドに流通拠点を持ち、80カ国以上に製品を展開している。ECプラットフォームや実店舗も手掛けており、欧州での影響力を急拡大させていた。
この買収により、JTは成長が著しいベイプ市場への本格的な参入を果たした形だ。同社は、今後この分野を次世代たばこ戦略の中核に据える意向を示している。
米国での「Ploom」展開を視野に、関税回避も検討
一方、JTは米国市場への加熱式たばこ「Ploom」の導入も計画している。2025年時点では、米たばこ大手Altria(マルボロの米国販売元)との合弁で、2027年を目処に販売開始を目指しており、現在FDAへの事前承認申請(PMTA)の準備が進められている。
デバイスは現在インドネシアで製造されているが、アメリカへの輸出には32%の関税が課せられる可能性があるため、将来的には米国内での組み立てや流通も視野に入れているという。タバコスティックに関しては、すでにアメリカ国内での製造体制が整いつつある。
ベイプ市場における既存ブランド「Logic」
JTは2015年に米国の電子タバコブランド「Logic」を買収しており、現在も同ブランド製品を米国で販売している。製品は中国で生産されているが、アメリカでの売上規模は限定的であり、30%の関税の影響は軽微と見られている。
加熱式たばこへの巨額投資
JTはベイプだけでなく、加熱式たばこ(HnB:Heat-not-Burn)分野にも積極的な投資を続けている。2024年から2026年の3年間で、総額4,500億円の投資計画を発表し、販売国を2023年の約3倍となる45カ国へと拡大する方針だ。
同社は、2035年までに加熱式たばこが業界の主要な収益源になると見ており、紙巻きたばこに代わる中長期的な成長エンジンとして位置付けている。
国内では未展開も、グローバルでの拡大に注力
日本国内では、ニコチンを含むベイプの販売は薬機法により厳しく規制されており、JT自身も現在この分野での国内販売は行っていない。
ただし、海外での動向を見る限り、JTはグローバルでのベイプ・加熱式製品の成長に照準を合わせており、今後も戦略的な買収や合弁による市場拡大が続くと見られる。
References:
https://www.jt.com/investors/results/forecast/index.html ↩︎
https://www.reuters.com/business/japan-tobacco-may-consider-us-manufacturing-ploom-devices-executive-says-2025-05-27 ↩︎
https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/Japan-Tobacco-still-on-the-hunt-for-M-As-after-Vector-deal-CFO-says ↩︎