今回はBRO TALK STUDIOが名古屋のシーシャラウンジ「Nooria(ヌーリア)」のツッチーさんを訪ね、シーシャの吸い方を教わってきました。シーシャ歴20年というツッチーさんの、機材選びから盛り付け、炭の置き方、そして煙の抜き方に至るまでのこだわりをお届けします。

ツッチーさんの自己紹介
ツッチーさんは今年でシーシャ歴20年目を迎える、シーシャ業界の大ベテランです。現在は名古屋のアトリエ「Nooria」というシーシャ屋さんを営みながら、ワークショップを中心にシーシャの楽しみ方や幅、味の見方をみんなに教える活動を重視しています。
20周年の節目に新しいことをやろうということで、後述する移転計画も進行中とのことです。
使用しているボウルについて
今回ツッチーさんが使用しているのは、長年愛用している何年使っているか分からない、名称不詳のボウル。BROからの「ちなみにこのボウルなんて名前のやつなんすか?」という問いに対しても「これも昔から使ってるから、何年使ってるかわかんないね」と返すほど、使い込まれた一品です。

熱がかかったところが黒く焼けているのが特徴で、横から見ると、熱がかかった部分だけが黒く変色しているのがよく分かります。さらに上の部分を持ってひねると、熱がかかったところだけがカポッと外れる「経年劣化」を起こしている状態。ここまで使い込まれたボウルは、なかなか見られないものです。
ステムは「ショートステム」を選ぶ理由
機材はMYA Rich Tiaraのショートステムを使用。ショートステムを使う理由は、口に煙が届くまでのタイミングを早くするためです。

ステムが長いと、煙が口に届くまで3〜4秒のタイムラグが発生します。すると、悪くなった瞬間を判別するのも3〜4秒遅れることになり、その間ずっと過去の悪い煙を吸い続けることになってしまいます。
ショートステムなら、味の変化を最短で判断できるというわけです。
ただし、慣れてきたら大きいやつ(ロングステム)の方が良い場合もあります。シーシャは水のところから上の空間が広ければ広いほど煙を貯められるため、いい煙をオートでループで作れるようになれば、たくさんの煙がストックされた状態で回せます。完全にループできるようになったら、でっかい本体の方がうまいというのがツッチーさんの見解です。
盛り付けのポイント
ツッチーさんの盛り付けで一貫しているのは「空気を動かすことが大事」という考え方です。
- 押し付けない:パラパラと落とすように盛る
- 刻まない:昔は刻んでいたが、今は刻まない

刻むと物質として小さくなり、熱が均等に入りやすくなるため細かい煙は作りやすくなります。しかし、その分物質自体が小さいので早く燃え尽きてしまいます。
驚くべきはその分量。6gで2〜3時間吸えるとのこと。フレーバーを開ければわかりますが、結局6gだろうが、空気の通し方が甘ければ使い切れません。

最近は20gや30gといった大量のフレーバーを入れるやり方もありますが、熱が回らないところは完全燃焼しやすいため、ダメージを食らっている人が多いのかもしれない、とツッチーさんは指摘します。
炭のこだわり
炭は昔から愛用しているものを使用。形が崩れづらい炭であることがポイントです。

灰になって砕けていく炭は、ツッチーさんのやり方には向いていません。なぜなら、ツッチーさんは「灰落とし」というのをほとんどしないため、形がそのまま残ってくれた方がありがたいから。
炭は「端っこ」に乗せる
ツッチーさんのスタイルで最大の特徴は、炭を端っこに乗せることです。
熱を回したいのであって、焦がしたいわけではない
炭は小さい形になっても非常に熱を持っているため、なるべくフレーバーに直接当たらないように端に乗せるのです。ただし炭には空気を通さなければならないので、吸い方で空気を回すことを意識します。
炭の品質低下について
最近、日本に入ってきている炭は劣化しているそうです。原因はインドネシアなどの材料を中華系が買い叩いてしまい、別の材料が使われているためとのこと。
崩れる炭や、最初は熱くてもあとで温度が下がってしまう炭は、コントロールが効かなくなってしまいます。ある程度熱量をキープしてくれる炭でないと、コントロールができないのです。
吸い始めのタイミング
「いつでもいい」というのがツッチーさんの答え。ワークショップの場合は、炭を載せた段階から説明を始め、それが終わった頃に吸い始めるイメージで、明確に何分とは決めていません。
ただし、置きすぎはダメ。10〜15分以上置いてしまうと、端に置いていても下が蒸れてしまいます。
クラシックスタイル vs ヒートマネジメント
ヒートマネジメントシステム(HMS)とクラシックスタイル(直炭・端置き)の差について。
HMSは鉄板や上の素材自体が熱を持ってしまうため、上に熱い物体が乗っている状態になります。そのおかげでみんなシーシャの煙を作りやすいのですが、フレーバーに近いところに熱源があるため、フレーバーが蒸れてダメージを食らい、味が薄くなりやすいのです。
一方、クラシックの良いところは「必要な時だけ熱を加える」こと。最初から最後まで味が変わらないようにするのが一番で、味が変わってしまうのは消耗させているということ。そこがテクニックです。
ただしツッチーさんは「シーシャは自由」とも言います。これはあくまで嗜好品の楽しみ方の幅としてのやり方なので、必ずしもこうしなさいというわけではない、とのこと。
煙の抜き方の哲学
ここからが本題。ツッチーさんが煙を抜くスタイルにこだわる理由です。

いい煙とは「上に上がる煙」
煙は吐いたとしても、浮く煙が良い
フレーバーは有機物なので、熱をかけすぎて燃焼系に変わった段階で、煙ができる工程に二酸化炭素が入ってしまいます。すると煙は重たくなって沈むのです。だから上に上がる煙ほど良い煙ということになります。
タバコとしてシーシャをやるなら燃えた方が正しい。気化性のVAPEに近い形でやるなら軽い方がいい、という整理です。
「吐く」と「逃す」の違い
普通に吸って吐き出すと、煙が後から後からずっと出てきます。喋っている間も煙が出続けるということは、それだけ体に煙が残っているということ。それが体の中に入って定着してしまうのです。
また、吐き出すという行為は煙の密度を広げてしまいます。横から見ると前に飛んでいくため、密度が広がってしまうのです。せっかく濃く吸っているのに、わざわざ薄くする必要はない、という考え方です。
ゆっくり吐く方法と、その問題
次にやりがちなのが「ゆっくり吐く」方法。確かにこれでも味は濃くなります。ただし、煙が下に落ちていきます。これは息を吐いて煙にしているがゆえに二酸化炭素が混ざり、空気が重くなって落ちるのです。
ゆっくり時間をかけているため、体に吸収する煙も発生してしまいます。最終的には早く抜きたいのです。
「逃す」テクニック
早く抜くというのは、煙に何も干渉しないということ。

煙を吐き出すという行為は前に押し出しているだけ。それをしないことにします。
口から手を離した瞬間に、煙が勝手に立ち上がってくる──これが「逃す」状態です。
シーシャは元々、ホースの中にある煙が口元に届いてから出すので、4〜6秒分の煙の量を体に取り入れていることになります。それを一瞬の1秒で出せたら、その1秒は5〜6倍速。早く抜けているので、吐いているのとは違うのです。見た目は一緒かもしれないけれど、密度の濃さが違うため、味が一番濃く感じる、というのがツッチーさんの感覚です。
体のダメージも少ないやり方
シーシャによるダメージとは何か。煙が血液に入ると収縮が起き、血液の速度が早くなります。シーシャを吸っている間は酸素を取り入れていないので、酸素濃度が少ない状態。それが脳を通過するので「ふわっと」なるわけです。
これは三血(貧血)状態、つまり「酸素なのに高山病みたいな状態」。その状態にならない方がいい、という話です。
「喉を開けたまま」がカギ
逃すコツは、口を離した瞬間に力さえ抜けていれば、勝手に煙が抜けていくこと。喉を開けた状態をキープするのです。
しかし多くの人は、吐く準備として一旦喉を閉めてしまいます。だから止まってしまうのです。
シーシャをする人はみんな、吐くための準備として一旦喉を閉めてしまっている。それをやめればいい──というのがツッチーさんの結論。
吸っている最中は、喉が開いたままなのです。声門が閉じた時に発音になるため、そこに煙が当たって震えると痛い。それが起きないようにすればいい、というロジックです。
「逃す」を先にやる
逃すのを先にやって、煙をリリースした後に「はぁ〜」と息を出す。すると煙は前に押すことができず、上に上がっていきます。
「煙に頭を当てて上に上げている」ように見えるけれど、そうではなく、先に逃しているから自然に上がっているだけなのです。
空気の回し方と腹式呼吸
普段の吸い方だと、煙を逃しても煙は細く出てしまいます。これを幅広く出せると、フレーバー全体に熱を回せます。

そのカギが「腹式呼吸」。簡単に言えば、寝ている時の呼吸です。

体の力を抜く──ただし「だらける」のではなく「脱力」する必要があります。脱力とは、姿勢を維持する筋力以外の力を抜くこと。
例えばホースを持つ手も、力を入れてしまうと動きません。手は片手5〜6kgあるので、前に出すと「倒れる力」が発生してしまい、その瞬間に煙が止まってしまうのです。

骨盤がフラットで、最初は良い姿勢でやった方がいい。姿勢をカバーする筋力はあった状態で、他の脱力ができていれば何でもできる、というのがツッチーさんのアドバイスです。
Nooria移転&20周年の告知
最後に告知として、来年シーシャ開始20周年の節目に、Nooriaを移転して大きな店舗を出す予定とのこと。

最大30名収容できるサイズも検討しつつ、クオリティを維持するために13〜15名規模に落ち着く可能性もあるそうです。
これまでやってきたことを全部ぶつける場所として、音響にも力を入れた空間になる予定。バイト募集も予定しているとのことで、経験者でなくても、興味があってやりたい人を歓迎するそうです。
ツッチーさんは元々バーテンダーで、今回はバイトの子を育てて、できればバイトの子メインでシーシャを出したい構想。オープンは2026年の4月末〜5月頭頃を予定しています。
タバコの販売免許の認可タイミングによっては、変動する可能性もあるとのこと。最新情報はNooriaのInstagramでチェックしてください。
なお、移転に伴い店名も「Nooria in Phase」へ変わる予定。「フェーズ=現在」の意味で、「今のヌーリア」という形で再スタートを切ります。これまでのInstagramの情報は非表示になり、現在のNooriaが見られるのは今のうちだけです。

まとめ
ツッチーさんから学んだシーシャの吸い方の核心は、以下の通りです。
- ショートステム(MYA Rich Tiara)で味の変化を即座に判別する
- 盛り付けは押し付けず、刻まず、空気の通り道を確保する
- 炭は端っこに置き、形が崩れない炭を使う
- 吐かずに「逃す」。喉を開けたまま、力を抜いて煙を浮かせる
- 腹式呼吸+脱力で、フレーバー全体に空気を回す
シーシャは嗜好品なので「絶対こうしなさい」というものではありませんが、楽しみ方の幅を広げる選択肢として、ぜひ参考にしてみてください。

Nooria 店舗情報
- 所在地: 愛知県名古屋市
- ※2026年4月末〜5月頭に「Nooria in Phase」として移転予定