“「シーシャ」って本当に害が少ないの?” 話題の記事を補足してみた

  • 7月 4, 2023
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先日、Yahooニュースでこんなタイトルの記事が上がりました。

“「シーシャ」って本当に害が少ないの?”

今回は、多くの方が反応していたこちらの記事で書かれた内容は本当なのか、考えてみました。

取り上げる記事

今回触れていく記事はこちらになります。

「シーシャ」って本当に害が少ないの?(石田雅彦) – 個人 – Yahoo!ニュース

概要

基本的には、シーシャの有害性に言及した記事となります。簡単にまとめると、シーシャには有害物質が多く含まれ健康リスクがあるため、利用しない方が良いだろう、といった内容になります。

語弊を生むことを避けるため、少し長めに引用しております。

 水をくぐって出てきたシーシャの煙を分析すると、発がん性物質であるタバコ特異的ニトロソアミン、多環芳香族炭化水素、ホルムアルデヒドなど、また、ベンゼン、一酸化窒素、重金属といった有害物質が含まれていることが明らかになっているこのため、シーシャを吸うことで、発がん性物質や有害物質も同時に吸い込み、がん、心血管疾患、呼吸器疾患、一酸化炭素中毒、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などのタバコに特有の病気にかかるリスクが上がる。

また、葉タバコを含まないニコチンフリーのシーシャはニコチンは確かに含まれないが、タールなどの発がん性物質、一酸化窒素、一酸化炭素、多環芳香族炭化水素といった有害物質は同じように含まれていることがわかっている。シーシャの受動喫煙についても研究があり、シーシャ提供店の空気中の有害物質であるホルムアルデヒド、アセトアルデヒドは健康へ悪影響を及ぼす許容値を大きく超えているようだ

以上をまとめると、シーシャの有害性は他のタバコ製品と同じで、がん、心血管疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患などのタバコ関連の病気にかかるリスクもある

どのタバコ製品にもいえることだが、どんな成分が入っているかわからない製品を吸い込み、呼吸器から体内へ送り込むのは危険だ。ネットではシーシャの器具も安価で売っているが、他のタバコと同様、シーシャにも手を出さないほうがいいだろう。

引用 : 「シーシャ」って本当に害が少ないの?(石田雅彦) – 個人 – Yahoo!ニュース

所感

まず、有害物質や健康リスクに関しての記述は正しいと考えています。基本的にシーシャはタバコ葉を使用した嗜好品であるため、有害物質が含まれる点や健康リスクが存在することは間違い無いでしょう。

一方、シーシャとその他タバコの違いに関する言及が特になかったので、こちらを補足していきます。

補足ポイント : シーシャを吸う頻度

記事の中では、シーシャひと吸いで吸引する煙の量がタバコひと吸いよりも多く、有害物質を肺の奥まで煙が吸い込まれる危険性があるとの記載がありました。

ですが、通常の紙タバコの喫煙者とシーシャの喫煙者が喫煙行為を楽しむ頻度には大きな差があると考えられます。シーシャの使用は時折で共有されるのが特徴であり、一方タバコの消費は日常的に行われるものです。
BfR基準の消費パターンである週に2回のシーシャと週に140本のタバコの比較をAl Fakher社が研究していたため、こちらを補足とします。

引用 : AlFakherの研究内容

シーシャの煙に含まれる主要な有害物質である、タール・ニコチン・一酸化炭素の量を比較した表になります。こちらは、赤色のグラフが紙タバコ喫煙者の摂取する有害物質、緑色のグラフがシーシャ喫煙者のものになります。BfR基準での1週間あたりの比較では、シーシャはタバコと比較して有害物質の摂取が大幅に少なくなると考えられます。

今回はAl Fakher社の研究を引用したためBfR基準での結果ですが、もっと適切なターゲティングはあるかもしれません。ですが、このような使用頻度での比較を実施していない場合、体内に摂取される有害物質の比較は誤解を生む可能性があります。

補足ポイント : シーシャの煙に含まれる成分割合

引用 : AlFakherの研究内容

主要成分は同じですが、シーシャと紙タバコの燃焼温度の差や製造方法の違いなどを理由に構成は大きく異なります。シーシャは水蒸気とグリセリンの割合が75%程度存在するため、同じ量の煙を吸い込んだ場合、紙タバコの方が有害物質の摂取量は多くなると言えます。こちらも今回取り上げた記事には記載がない部分なので、補足させていただきました。

上記2つのポイントに関してですが、こちらの記事でより詳しくまとめておりますので、ご興味ある方はこちらもご覧下さい。

補足ポイント : 受動喫煙

続いて、受動喫煙に関しても補足が必要な可能性があります。

記事内ではシーシャ屋店内のホルムアルデヒド・アセトアルデヒドの基準値が高いことを理由に受動喫煙に関して問題意識を提唱しています。こちらは引用元の研究がイランのシーシャカフェを対象に行われた研究となっています。

こちらに関してですが、2点注意しておくべきことがあります。

・副流煙に関して

まず、イランと日本それぞれで提供されるシーシャのスタイル(セッティング)は異なる傾向にあります。イランを含む中東のシーシャはアルミの上に直置きなどで楽しめる店舗が多い印象です。一方、日本のシーシャはHMSと呼ばれる熱を均等に伝える機械をかますことが多く、炭付近から直接排出される煙が比較的少なく、温度もやや落ち着いている傾向にあります。そのため、引用元のイランでの研究と比較すると副流煙の影響は小さい可能性があると言えるでしょう。

・換気に関して

シーシャ屋内の空気は、換気をどの程度行うかで有害物質がどの程度滞留するかが大きく左右されます。イランと日本の店内の換気に関する意識の違いはわかりませんが、少なくとも日本のシーシャカフェの換気に対する意識は高いと感じます。

どちらも研究が存在しないため断定できるものではありませんが、受動喫煙について触れる上では、日本のシーシャ屋をサンプルとした研究があれば、より強い納得感があったかもしれません。

まとめ

シーシャに有害物質が含まれること、健康リスクが存在することは今回紹介した記事の通りです。嗜好品はその特性を正しく理解して楽しむ必要があります。そのため、今回補足した、頻度と煙の成分構成・受動喫煙の観点も頭に入れておくことをお勧めします。

最後に

この記事はシーシャを含む全ての喫煙行為を推奨するものではありません。また、今回取り上げた記事の内容を否定するものでもありません。

やはり、シーシャはタバコ葉を使用する以上、身体への害が存在します。そして、シーシャを含む喫煙行為を楽しむ上で、健康への影響を正確に理解しておくことは非常に重要です。今回取り上げた記事、そしてこちらの記事や引用元の研究を参照し、自分の判断でこれらの情報を取捨選択し、ご理解を深めていただくことをオススメします!